まちぽん!

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またこの話

平日の昼間の穏やかな時間。
働き盛りの男と、若いであろう女が、人生を無為に過ごしている。

ー最もやることの多い年代のはずが、なぜこうも時の華を咲き散らすのか…
結婚などどこ吹く風である。

「こんな失礼なモノローグがあるか!」

「急に何を言い出すんだ。」

何故か憤る赤髪の女性に、男性は慣れたように諭す。

「お前には聞こえてないの?」

「何が?」

「聞こえてない体なのか?!」

「おちつけ、どうしたんだ。」

「あぁ…もう…」

女は諦めて、疲れと共に溜め息を吐く。

「…なんでもねーよ。」


「『結婚などどこ吹く風である』だってさ。」

「聞こえてんじゃねーか!!」

婚期の事を言われて怒るのは、30代特有の焦りだろうか。

「しつけーな!」

「実際さ、結婚願望とかはないの?」

「なくは…ない。けど面倒臭さの方が勝つし…
今は本当にしたくないけど、40、50なってから結婚したいって思うのが怖いな。」

「ま、後では取り返しもつかないからね。」

女は、さっきの勢いが嘘のようにうなだれた。

「はぁ…もう30だもんな…ほんとやだ…」

「僕は四捨五入したら40だからね。君よりやばいんだよ。」

「もう歳の話やめない?くらーい気持ちになるわ。」

「でもさ、僕みたいな35歳ぐらいの独り身が君の歳を指摘する分にはいいじゃない。」

「…確かに若いやつに言われるとイヤミになるな。」

「お互い独り身が長いしね。気持ちもわかりあえるはずなんだよ。」

「うん…?」

「だから…僕の…」

「…」

「独り身仲間になってほしい。」

キレのいいスラップショットの音が響き渡った。